スクールソーシャルワークは、20世紀初頭にアメリカで誕生した、子どもたちを支えるためのシステムです。その活動の特徴は学校をベースにしてソーシャルワーク(福祉)的なアプローチによって、子どもたちの生活の質を高めるためのサポートをするということです。
現在の子どもたちにおかれている環境も、決して望ましい状態とは言えません。家庭に目を向ければ、経済的格差や貧困世帯の割合、虐待件数は年々増加しています。また家庭機能の縮小や地域社会の崩壊により、孤立化したり、排除される子どもや家庭が出てきてしまいます。学校においても、友達同士のトラブルや学力問題、さらには過度な受験戦争などもいじめや不登校の原因として考えられております。部活での体罰を背景とした自殺問題も記憶に新しいと思います。最後に社会に目を向けても、不景気や雇用制度の変化により、子どもたちが将来に対する希望を失ってしまう状態です。
スクールソーシャルワークの取り組み
- 子どもの経済的格差、貧困世帯
- 虐待
- 家庭機能の縮小や地域社会の崩壊
- 孤立化
- 友達同士のトラブル
- 学力問題
- 過度な受験戦争
- いじめ
- 不登校
- 体罰
- 子どもの自殺
スクールソーシャルワークの活動
スクールソーシャルワーク活動の基本的な姿勢は、子どもの人格を尊重し、彼(彼女)の利益を最優先に考えた関りをします。また、困難な状況を改善するためには、子どもを取り巻く様々な人びと(家庭・教師・友人など)や地域の環境にも注目し、それらの関係の中で活動するという考えを持っています。お互いの関係が希薄な社会で生きることを強いられ、孤立感を深めている子どもたちが、安心して暮らし、それぞれの可能性を十分に発揮できるような環境を作り出す必要性はますます高まっています。
子どもたちは、さまざまなサインを絶えることなく発し続けています。彼(彼女)らのそうした訴えに対して、私たちの社会は適切な対応を十分に有しているとは思えません。特に、希薄になってしまっている子どもと学校、家庭、地域との関係を再構築するための手立てが求められており、その確実な手立てとしてスクールソーシャルワークはあります。
SSWAJが提唱するスクールソーシャルワーカーの基本姿勢
- 子どもの尊厳の尊重・・・・・一人ひとりの子どもを個人として尊重します
- 子どもの最善の利益・・・・・子どもの利益を第一に考えます
- パートナーシップ・・・・・子どもと一緒に問題解決に取り組みます
- ストレングス視点・・・・・問題よりも可能性に目を向けます
- エコロジカル視点・・・・・環境との相互影響に焦点を当てます
- 自己決定・・・・・物事を自分で決めるようにサポートします
- 連携調整・・・・・関係機関や支援者と連携します
- 代弁・・・・・子どもの気持ちや希望を関係者に伝えます
- 秘密保持・・・・・不用意に子どもの情報を口外しません
SSWAJは、スクールソーシャルワークの意義を認める者たちが集まって作った組織です。大学等の研究者や、現職のスクールソーシャルワーカーもおりますが、最も大切にしているのは当事者や一般の方々を含む『市民性』です。子どもにとって快適な環境つくりに関心のある方々が一同に介することで、方法論や効果測定に偏らず、広い視野から子どもと学校と社会を捉え、そして考えることができます。